常念山脈(長野) 前常念岳(2661.9m)、常念岳(2857m) 2022年6月11日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:33 三股駐車場−−1:50 三股−−3:33 2170m肩−−4:45 前常念岳−−5:32 常念岳 6:00−−6:28 前常念岳−−7:17 2170m肩−−8:25 三股−−8:37 三股駐車場

場所長野県安曇野市/松本市
年月日2022年6月11日 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股に駐車場ありだが週末は満車になることが多く、手前の第二駐車場を利用することになる
登山道の有無あり
籔の有無無しだがまだ今シーズンの整備は完璧ではなく笹が足元を濡らす箇所あり。通常は夏山シーズン前に刈り払いされる
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば文句なしの大展望
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コメント今年初めての常念岳へ。天気は下り坂でお昼から雨の予報で、雨を避けるべく夜中から登り始めた。山頂までほぼ雪は無く夏道を歩くがまだ気温が低く、稜線では風もあり防寒装備が必要だった。山頂での気温はおそらく+4,5℃程度と思われた。高山植物の開花はこれからで花は少なかったが、樹林帯ではそれなりに見られた。山頂は時々ガスがかかる程度で済んだが、近場の常念山脈南部以外はほとんど雲に隠れて見えなかった。悪天予報で下山時にすれ違った登山者は7人だけ。週末の常念岳山頂で休憩中に誰にも会わなかったのは今回が初めてだった。2週間前の飯縄山下山時にコケて痛めた左膝の回復途上であり、今回は下りはスローペースで歩いたにも関わらず膝の痛みが出てしまった




雨が降る前に下山するため午前1時半に出発 林道終点の登山指導所
三股。今回は常念岳へ 2170m肩。まだ真っ暗
この梯子が森林限界突破の目印。徐々に明るくなる 梯子を越えた先の様子
蝶ヶ岳の稜線。蝶ヶ岳に雲がかかっている 花崗岩の斜面を急登。結構きつい
東の空。雲に覆われ志賀高原も全く見えない 前常念岳直下の避難小屋
前常念岳の一等三角点 前常念岳から見た常念岳
前常念岳から見た大天井岳方面 標高2680m付近で僅かな残雪
常念乗越分岐 標高2780m付近。2箇所目の残雪
キバナシャクナゲ。開花は僅か この残雪は登山道上ではない
主稜線の縦走路に合流 山頂にガスがかかる
常念岳山頂 山頂直下の雪渓
常念岳から見た大天井岳 僅かに太陽が見えることも
常念岳から見た北側の展望。槍ヶ岳、後立山は雲の中
常念岳から見た南側の展望。穂高連峰は雲の中
下山開始時も縦走路に人の姿は無かった 前常念岳への尾根
下山開始直後に僅かに槍の穂先が見えた ミネズオウ
痛めた膝には岩だらけの尾根下りはちょっときつい 避難小屋から急な下りに変わる
蝶ヶ岳の稜線。常念岳山頂にいた頃よりも良く見えている 森林限界のヒメイチゲ
ツガザクラ コケモモかと思ったらコメバツガザクラ。花の先端がほぼ閉じている
イワカガミ。まだ樹林帯でしか咲いていない 薄日が差してきた
イワナシ 樹林帯のヒメイチゲ
これはミツバオウレン。5つ葉のバイカオウレンもあった コミヤマタカバミ。樹林帯の花
2207m標高点の構造物跡 2170m肩。4人パーティーとすれ違った
真新しい倒木 オオカメノキ
樹林帯のイワカガミ ランの仲間とは思ったがイチヨウラン。目立たず発見困難(希少種)
処理されたばかりの倒木 ズダヤクシュ。たくさん見られた
マイヅルソウ スミレだが細かな種類は知らない
ユキノシタ科だけは間違いなし ギンリョウソウ
ゴゼンタチバナ 輪生する葉の数からしてクルマバソウ
オドリコソウ たぶんラショウモンカズラ
タガソデソウっぽい 林道終点
土曜日なのに駐車数は10台


 今週末は土曜日は天気が下り坂で、北アルプスではお昼くらいから雨の予報。逆に日曜日は雨から回復傾向だが、私の活動時間帯である早朝はまだ雨の予報。こうなると土曜日に雨が降る前に下山できるよう行動するのが一番だ。ただし、今回は天気が下り坂で雨が降る直前に登るので山頂での展望は期待できないだろう。気圧配置からして南西から湿った風が入るので、下界は曇りでも北アルプスの稜線には雲が湧いてガスっている可能性がある。

 行先であるがガスって藪が濡れている可能性を考えて夏道だけで登れる山と言うことで、今シーズン初めて常念岳に登ることにした。いつもの一ノ沢は雪解けで水量が増えているだろうから、今回は三股から前常念経由とする。前回、蝶ヶ岳に登った時にこの稜線が見渡せたが雪は無く、あれから2週間経過しているのでもう雪対策の装備は不要だと判断し、アイゼンも持たないことにした。代わりに雨対策で傘を持つことに。

 土曜日の長野の天気予報は曇り後雨であり、午後の降水確率は60%。これで登ろうという人の方が少ないのが当たり前で、金曜夜の三股駐車場は数台が駐車するのみ。夜は寒気の影響で雨が降っていたが、これは気温が低下する夜中には上がるはずだ。酒を飲んで寝たが今週は仕事で肉体労働が続いたので爆睡し、目覚ましのアラームが鳴るまで全く目ざめなかった。

 起床は夜中1時。雨は止んでいるが上空に星は見えていない。朝飯には早いが飯を食って1時半くらいに出発。夜中に上がってきた車はほとんどいないようで、車が増えたのが確実なのは2台だけだった。

 前回の蝶ヶ岳では歩き出して早々にLEDライトに雨粒が反射したが今回はそれは無し。さて、下山するまでに雨が降らずに済むか。常念岳山頂までの標高差は約1600mであり4時間を見込んでいるので山頂到着は朝5時半。日の出から約1時間後だが曇り空で日の光は期待できないだろう。下りは2時間〜3時間程度なので、駐車場に戻ってくるのは遅くても午前9時頃だろう。これなら雨には当たらないで済むはずだ。

 林道終点には前回同様に蝶ヶ岳ヒュッテ関係者と思われる車が1台のみ。橋を渡って三股で右折して常念岳方面へ。この時期はまだ登山道は刈り払いされていない可能性が高く、昨年一年間で伸びた笹が足元を濡らす可能性があるが、一年ではそれほど大幅に伸びるわけではないので盛大に濡れるまではいかないだろう。

 沢を離れてすぐに尾根に取り付いて高度を上げる。一ノ沢コースと違って三股コースは効率よく高度を稼げるので、短時間で高度を上げて涼しいエリアに早く入ることができる。まあ、この時期はまだ日中でもそれほど暑くいないので大きなメリットではないが。

 雨上がり直後なので登山道が湿っているが、登りが続く間は泥沼は無い。ただし滑りやすい場所、特に木の根が表面に出た場所は注意が必要だ。私の場合は下手にコケると左膝をさらに痛めてしまう可能性がある。どちらかと言えば登りよりも下りの方が危険だが。暗闇の中をLEDライトで歩くと、右目が効かない私では木の根の存在が分かりにくい。

 予想通り足元を濡らす草や笹があり、劣化が進んで防水機能をほぼ失った私の登山口では水が浸透して靴下が少し濡れたが、完全に水没するほどではなかった。おそらく7月に入れば刈り払いが済んで快適に歩けるようになるだろう。ある程度まで高度が上がって立木がシラビソに変わる頃には登山道にはみ出た笹は消える。

 標高2170m肩でやっと傾斜が緩んで泥沼が登場。微小ピークである2207m標高点まで泥沼が点在して時々迂回。これも真夏になれば乾燥して歩きやすくなる。2207m標高点を越えて小鞍部から登り返すと再び傾斜が出てくる。高度を上げると徐々にシラビソが低くなって森林限界が近いことを感じさせる。

 標高2360m付近でアルミの梯子が登場すると、これを越えた岩の上が森林限界で一気に視界が開ける。既にライトが必要かギリギリの明るさになっているが、今日は厚い雲に覆われて東の空も暗いまま。西に見えている蝶ヶ岳に続く稜線は、蝶槍は見えているが蝶ヶ岳の山頂には西から乗り越えるような雲がかかっていた。蝶ヶ岳が雲の中では常念岳も雲の中の可能性が高いな。でも雨が降っていないだけマシだろう。

 ハイマツの中をトラバースするように登山道を進んで登りに変わるとハイマツがさらに低くなり、大きな花崗岩が目立つようになる。この先は雷鳥が登場する可能性があるエリアだが、今回は鳴き声は聞こえたが姿を見ることはなかった。

 今週は平日の仕事で肉体労働が続いた影響で疲労が溜まり、急な登りでは足が重いが我慢して足を動かし続ける。せめて天候が良くて展望も良ければ精神的にはもう少し楽になるのだが。

 避難小屋がある2660m肩でやっと傾斜が緩んで僅かな登りで前常念岳の一等三角点が登場。ここでようやく常念岳山頂が見えるが、幸いにして山頂にガスはかかっていない。このままガスが晴れた状態で山頂にたどり着ければいいが。右手に見える大天井岳にかけての稜線はかろうじて雲の下で姿が見えるが、餓鬼岳以北や大天井岳から西岳を結ぶ稜線より奥は雲がかかって見えなかった。この状況は想定の範囲内だが、遠望が効かないのはやはり残念である。

 前常念岳より先はしばらくは花崗岩の上を歩く箇所が多く、足元は水平ではないので膝に横方向に力がかかって痛めた左膝の具合が悪い。これでコケたらさらに膝を痛める危険性が高く、この区間は歩く速度を落として慎重に進んだ。前常念岳より先は冷たい北西の風が強まって体感的にかなり寒くなって防寒装備を着用。気温は一桁台前半であろう。手袋は風を通す軍手ではなく防水防寒手袋に切り替えた。

 常念乗越分岐を通過すれば岩の上を歩くことが少なくなり歩きやすくなるが、登山道にはみ出したハイマツが多くなり、昨晩の雨でまだ葉が湿ってズボンを濡らす。樹林帯以下の登山道は毎年は刈り払いされるが、森林限界では刈り払いされないようだ。昨年は雨の中を登ってここでびしょ濡れになったのを思い出す。

 残念ながら天候は下り坂だけあって常念岳山頂にガスがかかり始めた。予報では下界で雨が降り出すのはお昼頃のはずで、山の上でもまだ大丈夫だろうとは思うがちょっと心配だ。でも展望が無くなってしまうのは大いに残念。とはいえここまで登ったのなら雨が降っても山頂に立つつもりだが。

 前常念岳〜縦走路合流点までに残雪を踏んだのは2か所だけで、それぞれの距離は数m程度でアイゼンは不要な場面だった。微小鞍部を通過して縦走路に合流。いつもの週末ならここで登山者の姿を見るのだが今回は見える範囲に人の姿は無い。

 山頂にかかっていたガスはずっとかかり続けているわけではないようで、登っている最中にガスが切れて視界が開けるタイミングもあった。多少は期待できるかな。

 最後の一登りで常念岳山頂に到着。最初はガスがかかっていたが思ったよりもガスが切れる時間帯があった。ただし周囲の山にもガスが絡んでいて遠望は効かない。近くに見えるはずの槍穂もガスの中で全く見えず。東や南の空も雲が多く、八ヶ岳、南アルプスはおろか浅間山や志賀高原の山も見えなかった。

 今回は過去の常念岳登山の中でもかなり疲れた方なので休憩が必要。岩陰で冷たい風を避けながら軽く飯を食って休憩。その間に槍穂のガスが切れないかちょっとだけ期待したが、残念ながらそれはなかった。

 帰りは花を探しながらの下山でペースが落ちたが、痛めた膝の保護にはちょうど良かった。肝心の花だが、常念岳〜前常念岳の間ではミネズオウが最も多く見られ、次に多いのはヒメイチゲ。私が歩く時は標高が落ちた場所でもいつもヒメイチゲの花は閉じているので、もしかしたら日が高い時間帯しか花が開かないのかも。キバナシャクナゲは僅かに咲き始め程度。

 前常念岳〜樹林帯に入る間ではヒメイチゲ、イワカガミ、ツガザクラ、コメバツガザクラを見かけた。コメバツガザクラの花は最初はコケモモかと思ったが、花の形状がコケモモと異なるので疑問に思った。コケモモの花は先端が大きく開いているのだが、ここで見たものはほとんど閉じていた。しかし葉の形は間違いなくコケモモ。気になって帰宅後にネットでコケモモに似た花で検索をかけたらコメバツガザクラと判明した。過去の経験上、ここが一番多く見られる場所だろう。

 樹林帯に入ると上部ではイワカガミ、イワナシ、ヒメイチゲ、ミツバオウレンとバイカオウレンが多く見られた。バイカオウレンという花は帰宅後に知ったがミツバオウレンと非常に似ているが、葉っぱが三つ葉ではなく五つ葉であるので判別が付く。確かにミツバオウレンとして撮影した写真の中には五つ葉が写っているものがあった。今後はその違いに気を付けて観察しよう。

 樹林帯中部ではイワカガミ、コミヤマタカバミが目立ったが、一つだけ珍しい花を発見。開けた場所ではなく笹の隙間に存在し、群落ではなく一株だけポツンと咲いて、目立たない色なので発見が難しい。その場では種類は分からなかったが蘭の仲間であることは直感で分かった。花と葉の写真を撮影して帰宅後にネットで調べたらイチヨウランとのこと。準絶滅危惧種で希少種とのことだが、数の少なさよりも目立たない色、大きさで発見が難しいだろう。次回ここを歩いて再び発見できる自信が持てないほど目立たない存在だった。

 さらに標高を落とすとズダヤクシュが多数を占めるようになる。マイヅルソウも多く見られ、すでに満開状態の場所も。相変わらずスミレは細かな種類は判別できない。ユキノシタ科の花も私には判別が難しい。登山口近くまで高度が落ちると今年初のゴゼンタチバナを発見。これから徐々に高度を上に移しつつ長期間花を楽しめるだろう。同じく登山口付近でクルマバソウがたくさん見られ、三股付近以下でオドリコソウが群生していた。

 通常の週末では、私が下山時に林道を歩いているとすれ違う登山者が少なからずいるのだが、今回は皆無。下山中全体ですれ違ったのは計7人だけと週末にしては記録的な少なさだった。そして三股に駐車している車の数はさらに記録的な少なさで、数えてみたら10台であった。週末に全駐車台数がカウント可能な状態は見たことがなく驚くべき光景だ。それだけ今週の天気予報が悪いということだ。車に戻って着替えている間に1台だけ車が上がってきたがその後は皆無だった。


おまけ
 下山の翌日、3回目の新型コロナウィルスワクチン接種(モデルナ製)を受けた。私の場合、1、2回目ともファイザー製ワクチンでモデルナ製よりも副反応が弱いと言われていたが、1、2回目とも見事に強烈な副反応で発熱し、丸2日間会社を休まざるを得なかった。2回目は1回目より強く出て発熱は接種翌日は38℃を越えて寝たきり状態に。接種を受けた左腕の痛みも酷く、寝返りは左腕を下にできないほどだった。

 3回目の副反応はこれを上回り、発熱対策で解熱作用のある総合感冒薬を服用したが、接種翌日は39℃に達する高熱で起き上がることすら困難な状況となり、命の危険を感じて本気で救急車を呼ぼうか悩む事態に。その日の夜中に熱が下がり始めて接種後2日目朝に37℃台半ばまで下がって危機を脱した。ただし会社で仕事ができる状況ではないのでこの日もお休み。熱は下がったが今度は接種を受けた左腕の痛みが脇の下に広がって体温計を差し込むと痛い! この日もほとんど寝たきりで過ごし、食欲が戻ったのはお昼頃。それまでは水と野菜ジュース、ヨーグルトくらいしか口にできなかった。接種後3日目にやっと体温が37℃を下回って会社に復帰した。

 ワクチン接種=予防接種でこれほど酷い目に遭った経験は新型コロナが初めてで、私の場合はワクチン接種の副反応の酷さがコロナ感染による症状のリスクを上回っているのか甚だ疑問である。もし4回目のワクチン接種を選択できる状況になっても、接種をしないことでよほどの社会的行動制限が必要にならない限りは接種はやらないつもりだ。今回同様の苦しみをまた味わうのは勘弁してもらいたい。本当に死ぬ思いだった。私の体質と新型コロナワクチンの相性は最悪だ。

 ただし、今回接種を受けたワクチンはいずれもmRNAタイプだったが、もしかしたら別のタイプなら副反応が軽いかもしれない。それらが4回目接種で選択可能になるようなら考えてみるかも。

 

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